太陽光発電の設置費用はいくら?内訳・相場・費用を抑える方法を徹底解説

電気料金の高騰が続く中、電気代の節約につながり環境にも優しい「太陽光発電」への注目が高まっています。再生可能エネルギーとして注目される太陽光発電ですが、導入を検討する際に多くの人が気になるのがシステムの設置費用ではないでしょうか。

実は、太陽光発電の設置費用は年々低下しており、以前と比べて格段に導入しやすくなっています。本記事では、太陽光発電の設置費用の相場や内訳、投資回収年数の目安、初期費用を抑える方法をわかりやすく解説します。

太陽光発電の設置費用の相場と内訳

太陽光発電の導入を検討する際、まず把握しておきたいのが設置費用の相場です。設置費用は年々低下傾向にあり、現在では10年前と比較して大幅に安くなっています。

ここでは、家庭用太陽光発電の平均的な設置費用と、その内訳について詳しく見ていきましょう。

家庭用太陽光発電の平均設置費用は85.8万~143万円

資源エネルギー庁が公開している太陽光発電に関する資料によると、2024年における新築の家庭用太陽光発電の設置費用は、1kWあたり28.6万円でした。家庭用の太陽光発電は、3~5kWを設置することが多いため、平均的な設置費用は85.8万~143万円と考えられます。

以下は、太陽光発電の設置費用の推移を示したグラフです。

出典:太陽光発電についてp38

この価格帯は、一般的な家庭の屋根面積や電力使用量を考慮した適切な容量です。近年の資材や人件費の上昇により、設置費用は下げ止まっていますが、2012年と比較すると大幅に安くなっており、2024年には約6割ほどの水準まで抑えられています。

こうした価格低下の背景には、技術革新による製造コストの削減や、メーカー間の競争の活発化による価格の低下が挙げられます。

費用の内訳

太陽光発電の設置費用は、大きく「設備費」と「工事費」に分けられます。新築住宅の場合の一般的な内訳は、以下のとおりです。


参照:「太陽光発電について|資源エネルギー庁」を元に作成

設備費のうち、最も大きな割合を占めるのがパネル費用で、全体の約47%を占めます。次が工事費で全体の約29%、その他にパワーコンディショナ(パワコン)や架台などの機器費用が含まれます。

見積もりを比較する際は、これらの費用構成が妥当かを慎重に確認することが大切です。特に、同じ発電容量でも使用する機器のグレードやメーカーによって価格が大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取り、性能や価格、アフターフォロー体制など比較検討することをおすすめします。

太陽光発電は本当に元が取れる?設置費用回収の目安

太陽光発電の導入を検討する際の重要な判断基準の一つが、投資回収期間です。電気代の削減効果と売電収入により、初期投資をどの程度の期間で回収可能か把握することで、導入すべきかを判断できます。

ここでは、以下の3点について詳しく見ていきましょう。

  • 電気代削減による年間の節約効果
  • 売電収入と回収年数のシミュレーション
  • 導入後に発生するメンテナンス費用の目安

電気代削減による年間の節約効果

太陽光発電協会によると、太陽光発電の年間発電量は、設置容量1kWあたり約1,000kWhです。家庭用で設置されることの多い3kWの太陽光発電システムでは、年間約3,000kWhの発電が期待できます。

資源エネルギー庁のデータでは、発電した電力のうち自家消費率は平均32.7%、残りの67.3%は売電に回るとされています。したがって、3,000kWhのうち約981kWhが自家消費へ、約2,019kWhが売電へ充当される計算です。

電力料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の定めによると31円/kWhです。これをもとに、自家消費によって削減される電気代を試算すると、981kWh × 31円/kWh = 30,411円となります。

つまり、3kWの太陽光発電システムを導入した場合、年間で約3万円の電気代を削減できると考えられます。

参考:
太陽光発電協会|よくある質問「太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?」
環境省|家庭でのエネルギー消費量について
e-Stat 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯|用途分類(世帯人員別)|電気代

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売電収入と回収年数のシミュレーション

FIT(固定価格買取制度)を活用することで、自家消費後に余った太陽光発電の電力を売却して利益を得ることが可能です。ただし、売電価格は毎年改定されるため、設備導入時期によって異なることに注意が必要です。

例えば、3kWの太陽光発電を設置し、年間の発電量が3,000kWhと仮定します。資源エネルギー庁によると、太陽光発電による電力の67.3%が余剰電力として売電されているとされているため、売電量は2,019kWhです。

26年度FIT制度の買取条件を前提とすると、売電による収入の見込みは、以下のようにシミュレーションできます。

 

設置からの経過年数

売却する電力量

売電単価

年間の売電利益

1~4年目

2,019kWh

24.0円

48,456円

5~10年目

2,019kWh

8.3円

16,777円

 

上記シミュレーションの場合、設置から4年目までに合計19万3,824円、5年目から10年目までは10万662円となり、10年間で売電により29万4,486円の収入が得られる計算です。

また、3,000kWhのうち自家消費によって削減される電気代が約3万円あり、10年間に換算すると約30万円の電気代削減につながります。

10年間で節約できる電気代と売電による利益を合計すると59万4,486円となり、この費用は太陽光発電の導入費の回収に置き換えられます。

太陽光発電の設置費用の目安は、1kWあたり28万6,000円、3kWで85万8,000円です。仮に東京都の補助金制度で36万円を利用できた場合、太陽光発電の導入費用は49万8,000円となります。

つまり、10年以内に導入費用を回収できると考えられ、長期的に見ればプラスになるといえるでしょう。

また、家庭用太陽光の寿命は法定耐用年数が17年、実際の耐久性能は20~30年程度とされています。したがって、10年目以降も、電気料金削減の効果と、売電収入を得ることが可能です。
特に売電収入については、FIT期間終了後により多くのメリットを得るため、売電単価が高いプランを選ぶこともポイントです。例えば、idemitsuでんきの「でんきセット買取プラン」は、自宅の電気契約と、FIT終了後の売電をセットで契約するプランで、売電だけを契約する「スタンダード買取プラン」と比較して売電価格が+2円/kWh上乗せされるため、売電収入をさらに増やすことができます。

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導入後に発生するメンテナンス費用の目安

資源エネルギー庁によると、家庭で導入した太陽光発電には、年間約6,300円/kWの運転維持費がかかります。また、太陽光発電には定期的なメンテナンス費用も発生します。

定期点検は発電量の維持や安全性確保の観点から、3~5年に1回推奨されており、1回あたり約4.1万円が必要とされています。また、20年に1度はパワコンの交換が必要となり、費用相場は42.3万円となっています。

一般家庭で選ばれやすい「3~5kW」の発電システムごとの運転費用は、以下のとおりです。

 

太陽光発電

運転維持費(/年)

3kW

約18,900円

4kW

約25,200円

5kW

約31,500円

 

これらのメンテナンスやパワコンの交換費用を考慮しても、売電収入と電気代削減効果を合わせると、長期的に見て太陽光発電を導入した方がプラスになると考えられます。さらに、適切なメンテナンスを行うことで、システムの寿命を延ばし、安定した発電を継続できます。

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太陽光発電の設置費用を抑える方法

太陽光発電を導入する際、初期費用の負担を軽減する主な方法として、以下が挙げられます。

  • 補助金・支援制度
  • リース・PPAサービス
  • ローンや分割払い

これらを上手に組み合わせることで、初期投資を抑えつつ導入ハードルを下げることが可能です。ここでは、それぞれの費用削減方法について、具体的な仕組みを詳しく解説します。

補助金・支援制度

2013年度までは太陽光発電の導入に対し、国の補助金制度がありましたが、現在では自治体ごとの補助金制度のみが実施されています。国の補助金が廃止されたのは、太陽光発電の設置費用が大幅に軽減されたことが一つの要因です。

自治体で活用できる補助金は地域によって内容が異なり、以下は2025年(令和7年度)時点での一例です。

 

自治体

住宅に対する太陽光発電の補助金

東京都(※1)

・1kWあたり12万円(上限36万円)

・3.6kW超の場合は1kWあたり10万円

神奈川県(※2)

1kWあたり万円

福岡県(※3)

1kWあたり2万円(戸建て住宅上限10万円)

 

なお、太陽光発電設置の補助金は先着順であることが一般的です。補助金の募集開始後すぐに予算が上限に達するケースも少なくないため、余裕をもって準備を進めることが大切です。

各自治体のホームページを定期的にチェックし、募集開始時期や申請手続きの詳細を早めに把握しておくことをおすすめします。

(※1)太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業
(※2)令和7年度神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金
(※3)令和7年度 福岡市住宅用エネルギーシステム導入支援事業

リース・PPAサービス

太陽光発電の導入には、本来、初期費用や定期的なメンテナンス費用といった大きな負担が伴いますが、「リース」や「PPA(Power Purchase Agreement)」サービスを利用することで、これらの費用をかけずに太陽光発電を導入することが可能です。

どちらも月額費用のみで利用できるため、導入コストを抑えられる点が大きな魅力です。

PPAサービスは、PPA事業者が太陽光発電設備を所有し、契約者は設置場所を提供して電力を長期購入する仕組みです。契約者はPPA事業者から電気を安く購入できるメリットがあります。これにより、電気代の節約が可能ですが、発電された電気はPPA事業者のものであるため、余った電力の売電収入もPPA事業者となる点には注意が必要です。

一方、リースは太陽光発電の設備をリース会社から借りる仕組みであり、契約によっては発電した電力の一部を売電できる場合もあります。

PPAサービスとリースは、どちらも10~20年程度の長期契約が一般的です。契約が終了した後、太陽光設備を無償または低価格で譲渡するケースが多いです。

そのため、契約終了後は設備を自家発電として活用し、売電と電気代の削減両方が可能になります。ただし、その後はメンテナンス費用が自己負担となるため、維持コストも視野に入れて検討することが大切です。

ローンや分割払い

太陽光発電の設備を購入し、売電収入を得たい場合は、ローンや分割払いで支払う方法があります。

太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギー設備の導入に特化した「ソーラーローン」は、一般的なローンよりも金利が低く、返済期間を長めに設定できることが特徴です。

また、太陽光発電システムを取り扱う販売会社では、独自の分割払いを用意していることもあり、活用することで初期費用を抑えて導入できます。

どちらの場合も、返済は10年(120回)の選択が望ましいでしょう。太陽光発電の固定価格買取制度は10年であり、11年目以降の売電収入は、現時点で未定であるため、安定した売電ができる10年間の返済プランが推奨されています。

ローンや分割払いを選択する際は、月々の返済額と売電収入・電気代削減額のバランスを考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。

太陽光発電の設置費用を理解してエネすくでおトクに導入しよう

太陽光発電の設置費用は年々下がっており、2025年時点では3kWで約85.8万円から導入可能です。電気代削減や売電収入に加え、自治体の補助金を活用することで、10年以内の投資回収も見込めるでしょう。

さらに、初期費用の負担を軽減する方法として、リースやPPAサービス、ソーラーローンなどさまざまな選択肢があります。

idemitsuでんきの「エネすく」は、初期費用をかけずに太陽光発電を始められる定額制サービスです。太陽光発電システムだけでなく、蓄電池やV2H(Vehicle to Home)などの再生可能エネルギーシステムを、サブスクリプション形式(定額料金)で手軽に利用できます。

初期費用は無料で、契約満了後は太陽光発電設備が譲渡されるため、その後も継続して電気代の削減効果を得られることが大きな魅力です。電気料金の高騰が続く今こそ、太陽光発電で賢くエネルギーコストの節約を始めてみてはいかがでしょうか。

導入を検討する際は、「エネすく」の料金シミュレーションを活用し、ご自宅に最適なプランを試算してみてください。

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