電気代の計算方法とは?具体的なシミュレーションで詳しく解説

電気料金の高騰が続くなか、改めて電気代を見直したいと考えている方も多いのではないでしょうか。電気代を見直すためには、まずは電気代の計算方法を正しく理解することが大切です。一見複雑そうに見える電気代の計算方法ですが、理解すればそれほど複雑ではありません。
本記事では、電気代の計算方法について、図解を交えながらわかりやすく解説します。
1ヶ月の電気代の計算方法
電気代は、以下の4種類の料金によって構成されることが一般的です。
- 基本料金
- 電力量料金
- 燃料費調整額(電力量料金に含まれる)
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
1ヶ月分の電気代を求めるには、契約しているアンペア数に応じた「基本料金」、その月の使用電力量に応じて計算される「電力量料金」と「燃料費調整額」、同じく使用電力量に応じて計算される「再エネ賦課金」を合計します。
電力量料金に含まれる「燃料費調整単価」は、火力発電の燃料価格の変動に応じて変動します。燃料価格には基準価格が設けられており、その変動によって基準価格を上回ると加算、下回ると減額される仕組みです。
また、2012年7月から導入された「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取るための費用であり、電気を使用するすべての人が負担しなければなりません。2025年5月より、使用電力量1kWhに対して3.98円が電気代に含まれています。この単価は毎年見直しされます。
なお、使用電力量に対する料金の計算方法については、次章で詳しく解説しています。
電力量ごとの電気代の計算方法
電気代を正しく把握するためには、電力量ごとの料金の仕組みを理解することが大切です。特に、家電の「消費電力」や、それにかかる「電力量料金単価」について知っておくことで、自宅の電気代を抑えるヒントが見つかるかもしれません。
ここでは、消費電力と電気料金単価について、電気代の計算を交えながら解説します。
消費電力とは
消費電力とは、電気を使用する際に使う電力量を指しており、単位は「W(ワット)」が用いられます。電化製品によって必要なW(ワット)数は異なり、例えばエアコンや電子レンジのような家電は消費電力が高く、LED電球や扇風機などは比較的低い傾向があります。
電気代は主に「使用電力量」によって決まり、これは「消費電力」と家電の使用時間を掛けることで求められます。
【使用電力量の計算式】 消費電力(W)×使用時間(h)=使用電力量(Wh) |
仮に、消費電力800Wの電子レンジを30分(0.5時間)使った場合、使用電力量は「800W × 0.5h = 400Wh(=0.4kWh)」となります。この0.4kWhに電気料金単価(例:31円/kWh)を掛けることで、実際にかかる電気代を算出することが可能です。
家電の消費電力や定格消費電力は、説明書や製品カタログで確認できます。ただし、消費電力は一般的にW(ワット)で表記されていることが多いため、電気代の計算をする際にはkWh(キロワットアワー)に変換して考えましょう(W ÷ 1000 = kW)。
電気料金単価とは
電気料金単価とは、1kWh(キロワットアワー)あたりの使用電力量に対してかかる金額を意味します。
電気料金単価は、電力会社によって異なります。多くの電力会社では「段階料金制」を採用しており、電気の使用量が多くなるほど、単価も上がる仕組みです。
以下は、地域の電力会社である東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bと、idemitsuでんきとの料金単価の比較です。
このように、契約する電力会社によって単価が異なるため、家庭の使用電力量に応じてよりおトクなプランを選ぶことが重要です。
電気代の計算方法の例
電気代は、基本料金に加えて使用量に応じた電力量料金、さらに燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などを合算して算出されます。
例えば、東京電力エリアでidemitsuでんき「Sプラン」を契約した場合の料金体系は以下の通りです。
(単価:/kWh)
電気料金 | idemitsuでんき(Sプラン) |
---|---|
基本料金 | 311.75円/10A |
120kWhまで | 29.80円 |
120kWhを超え300kWhまで | 34.76円 |
300kWh超 | 37.10円 |
ここでは、idemitsuでんき「東京エリア・Sプラン・40A契約」のケースで、1ヶ月の使用電力量を400kWh、燃料費調整単価を-5円、再エネ賦課金単価を3.98円と仮定して計算してみましょう。
<基本料金> <電力量料金> 燃料調整費:-5円×400kWh= -2,000円 <再生可能エネルギー発電促進賦課金> 電気代合計:14,382円(概算) |
このように電気代は、さまざまな要素によって決定されます。
idemitsuでんきでは、公式サイト上で電気代のシミュレーションも可能です。他社と比較してどれくらい電気料金が安くなるのかを簡単に確認できますので、気になる方は下記よりぜひお試しください。
電気代の計算方法は電力会社・プランごとに異なる場合も
電気料金は基本的な構成は共通していても、電力会社や契約プランによって加算・減算される項目が設けられている場合があり、最終的な請求額に差が生じることがある点には注意しましょう。
例えば、以下のような項目が適用されることがあります。
- 口座振替割引額:支払い方法として口座振替を選択すると、毎月一定額(例:55円など)が割引される。
- 市場価格調整額:電力会社が電力を調達する「卸電力市場」の価格変動を反映し、料金単価が月ごとに変動する。
- 容量拠出金相当額:電力の安定供給を確保するためにすべての小売電気事業者が負担する容量拠出金を電気料金に反映する項目。導入の有無や名称は電力会社によって異なる。
これらの項目はすべての電力会社で採用されているわけではなく、電力会社やプランごとに対応は異なります。
例えば、idemitsuでんきでは、「市場価格調整額」や「容量拠出金相当額」「口座振替割引」といった項目は導入していません。そのため、料金体系がシンプルで分かりやすく、月々の電気代が大きく変動しない点が特徴です。契約先を選ぶ際は、こうした各社の料金構成の違いにも注目するとよいでしょう。
電気代の計算方法についてよくある質問
電気代は毎月の家計に大きく影響する固定費のひとつですが、その計算方法や目安については意外と知られていません。契約プランや使用状況によっても金額が変わるため、「どれくらいが平均?」「家電の使用でどの程度の電気代がかかるの?」と疑問に思う方も多いはずです。
ここでは、電気代の計算方法に関する質問に対して、最新のデータや実例をもとに分かりやすく解説します。
1ヶ月の電気代の平均はどれくらい?
家庭の電気代の平均は、家族の人数やライフスタイル、季節などの要因で変動します。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」によると、2人世帯以上における1ヶ月あたりの電気代の平均は、以下の通りです。
(単位:円)
家族人数別 電気代平均(1ヶ月) |
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|---|
平均 | 10,671 | 10,317 | 12,678 | 12,265 | 12,008 |
2人 | 9,515 | 9,183 | 11,307 | 10,940 | 10,878 |
3人 | 10,932 | 10,655 | 13,157 | 12,811 | 12,651 |
4人 | 11,788 | 11,376 | 13,948 | 13,532 | 12,805 |
5人 | 12,471 | 12,423 | 15,474 | 14,373 | 14,413 |
6人以上 | 16,003 | 14,852 | 17,869 | 18,947 | 16,995 |
人数別に見ると、2人世帯で10,878円、3人世帯では12,651円、4人世帯の場合は12,805円、5人世帯では14,413円と、家族が増えるごとに電気代も上昇します。
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また、特筆すべきは2021年から2022年にかけての電気代の高騰です。電力市場の価格上昇や燃料費の影響を受け、多くの家庭で電気代が急増しました。これに対応するため、国は2023年より断続的に電気料金の補助金制度を導入し、各家庭の負担を一時的に軽減しました。
ただし、こういった補助制度はいずれ終了することが基本であるため、自宅の電気使用量や契約内容を見直し、節電意識を持つことで根本的な課題解決を図ることが重要です。
電気代の平均額については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
よく使う家電の電気代の目安は?
毎日の生活に欠かせない家電製品ですが、電気代は使用量や使用時間によって大きく異なります。特に、以下のような使用頻度の多い家電の電気代は気になるところでしょう。
- エアコン
- テレビ
- 洗濯機
ここでは、電気料金単価の目安「31円/kWh」として、主要な家電の年間電気代を詳しく解説します。
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エアコンの電気代は?
エアコンは電気代が高くなりやすい家電のひとつですが、製品によって消費電力は異なります。例えば、パナソニック製のエアコンを使用した場合の電気代の目安は、以下の通りです。
メーカー | 機種 | 適用畳数 | 年間の電気代の目安 |
パナソニック | CS-X255D | 8畳 | 約18,300円 |
CS-X285D | 10畳 | 約20,100円 |
出典:省エネ型製品情報サイト
8畳用のエアコンの場合、年間の電気代の目安は約18,300円で、10畳用では約20,100円となっています。ただし、これらは標準的な使用を想定した目安であり、エアコンの使用期間や設定温度、断熱性能などによって実際の電気代は上下します。短時間の使用や効率的な温度設定により、電気代の削減が可能です。
テレビの電気代は?
テレビの電気代はサイズと使用時間に大きく左右されます。例えば、シャープ製のテレビをもとにした電気代の目安は、以下の通りです。
メーカー | 機種 | サイズ | 年間の電気代の目安 |
シャープ | 4T-C43GJ1 | 43V型 | 約2,890円 |
4T-C50GJ1 | 50V型 | 約3,210円 |
出典:省エネ型製品情報サイト
43V型テレビの年間の電気代は約2,890円、50V型では約3,210円となっています。この金額は1日あたり数円〜10円程度の計算になりますが、テレビをつけっぱなしにしていると電気代が高くなる可能性があります。こまめに電源を切る、明るさを抑えるなどの工夫をすることで、年間の電気代の節約につながるでしょう。
洗濯機の電気代は?
洗濯機の電気代は使用回数によって大きく変わります。パナソニック「LXシリーズ」(NA-LX129D)のドラム式洗濯乾燥機で、6kgの洗濯を1回行った場合の消費電力量は約890Whです。
目安単価31円/kWhをもとに計算すると、1回の洗濯あたりの電気代は以下のようになります。
31円×0.89kWh=約27.59円 |
1回あたりの電気代は約27.59円という計算になります。
使用頻度ごとの電気代の概算は下表の通りです。
1日に1回 | 2日に1回 | 3日に1回 | |
年間の使用回数 | 365回 | 183回 | 122回 |
年間の電気代 | 約10,070円 | 約5,049円 | 約3,366円 |
1ヶ月あたりの電気代平均 | 約839円 | 約421円 | 約281円 |
仮に、洗濯機を1日に1回使用した場合、年間で約365回となり、電気代は約10,070円です。2日に1回なら約5,049円、3日に1回では約3,366円となり、1ヶ月あたりの平均に換算すると、それぞれ約839円、421円、281円と使用頻度に応じて異なります。
洗濯機はまとめ洗いを意識することで、電気代を抑えることができるため、実践しやすい節電の工夫としておすすめです。
電気代を節約する方法は?
少しでも電気代を節約するためには以下の方法をおすすめします。
- 家電製品はこまめに電源スイッチを切る
- カーテンを使って室温を調整する
- エアコンや冷蔵庫は適切な設定温度にする
- 照明はLEDを使用する
- 洗濯はまとめ洗いを心掛ける
- 家電のフィルターはこまめに掃除する
- 省エネ家電に買い替える
しかし、こまめな節電は習慣的に行うのも難しく、すぐに電気代に反映される対策でもありません。上記以外に、電力会社を見直す方法もあります。電力プランに切り替えることで、電気代そのものを下げられる可能性があります。
電気代の効果的な節約方法については、以下で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
電気代の節約をする方法とは?電気代を抑える方法・節約術について解説
電気代をおトクにするなら切り替えも検討しよう
電気代の計算方法は、「消費電力量」と「電気料金単価」が大きく関係しています。基本料金に加え、使用電力分の電気料金単価によっておおよその電気代が確定します。
しかし、消費電力は家電の使い方や種類によって異なり、電気料金の単価も電力会社によって大きな差があります。そのため、電気代の負担を軽減するためには、節電の工夫に加え、自分のライフスタイルに合った電力会社を選ぶことが重要です。
idemitsuでんきなら、電気代の料金単価が地域の電力会社より低く設定されているだけでなく、電力市場の価格変動の影響を受けにくいというメリットがあります。急な電気代の高騰が起きにくい料金体系であるため、「今の電気代、高いかも…」と感じている方は、一度idemitsuでんきの電気料金シミュレーションを試してみることがおすすめです。
自宅の使用状況に合った最適なプランに切り替え、無理なく電気代を節約しましょう。