電気代の計算方法を知って、賢く節約
「今月の電気代、こんなに高くなっちゃった!」ここ数年 続く電気料金の上昇に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか?
日常の暮らしに電気は欠かせないものですが、その料金がどんどん高くなると、家計にじわじわと影響を及ぼしていきます。
今回は、電気料金のしくみや家電の実際の電気代、そして暮らしのなかですぐにできる節約のテクニックといった、電気代節約の基礎知識をご紹介します。
❏電気代の計算方法を知ろう
毎月の電気代の明細書を見て一喜一憂されていると思いますが、まずは皆さんの家の電気代がなぜこの金額になっているのか、明細書の読み方、電気代の計算方法について知っておきましょう。毎月の電気料金=基本料金+電力量料金+ 再生エネルギー発電促進賦課金
一般的に電気料金は、「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つを合計した金額です。※地域によって異なります。
※出典:経済産業省 資源エネルギー庁
「電気料金の改定について(2023年6月実施)」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/kaitei_2023/
基本料金
契約したアンペア数によって毎月決まった金額がかかるものです。契約アンペア数は3人世帯では30A、4人世帯であれば使う電力も多くなるので50Aの契約が多いと言われています。電力量料金
この月に電力をどれだけ使ったかという金額です。「1kWh」という単位あたりの単価が設定されており、「1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)」で計算されています。
また電力会社によっては、1kWhあたりの電力量料金の単価を使用量に応じて3段階に設定する仕組みを導入している場合もあります。
明細では1段料金、2段料金、3段料金と書かれています。これは使った電力量が多くなるほど、電力量料金単価も高くなる仕組みになっています。
再生エネルギー発電促進賦課金
明細書では「再エネ賦課金」とも記載されています。再生エネルギー普及のために電力の買取り費用の一部を、すべての利用者が負担するものです。ここでは標準的な例で電気料金を説明してきましたが、お住まいの地域の電力会社ごとに計算式は違う場合があります。
基本料金がなかったり、3段階ではなく定額設定していたり、独自のプランを設定している電力会社もあります。
お手元の明細書が理解できるようになりましたか? これが電気代節約マスターへの第一歩です。
❏家電ごとの消費電力を知ろう
「電力量料金」は実際にエアコンや照明などの家電などで使った電気の金額です。ですから節約するにはここがまずはポイント。家電がどれだけ実際に電気代がかかるか、すぐ分かる方法を説明します。
家電1台の電気代= 家電の消費電力(kW) × 利用時間 (h) × 電気料金単価(円)
※1kW(キロワット)は1000W(ワット)のことです。
家電の消費電力
たとえば家電製品の裏面などをご覧いただくとラベルが貼ってあり、そこに「◯W」とその製品の消費電力が書いてあるのではないでしょうか。よく見るとそこには「定格消費電力」と「年間消費電力」と書かれていると思います。
定格消費電力は製品を最大性能で使った時の電力で、年間消費電力はその製品を1年間、実際の使用に近い条件で使った時の消費電力です。
エアコンでは冷房と暖房などで消費電力が異なるので期間消費電力量という記載がされています。
電気料金単価
これは家電を1時間使った時の電気代です。電気料金単価は、電力会社や契約や1日の時間帯によって異なるため、全国家庭電気製品公正取引協議会という団体が目安単価として2022年7月22日以降「31円/kWh」と設定しています。
では実際に電気料金を計算してみましょう。
●たとえば消費電力1200W(1.2kW)のドライヤーを1日1時間使った場合
1.2kW × 1時間× 31円 = 37.2円/日
1ヶ月だと約1200円ということになります。
●また期間消費電力1000kW/年 のエアコンを1年間使った場合は
1000kW × 31円 = 31,000円/年
冷房暖房フル稼働時や逆に全く使わない時期もあったりしますが、トータルで年間31,000円かかるということになります。
実際は電気会社や契約プラン、そして使用条件によって異なりますので上の計算はあくまで目安ととらえてください。
このように電化製品1台1台の積み重ね、つまり、つけっぱなしのテレビ、エアコンや照明、ドアをあけたままの冷蔵庫、忘れているけどコンセントに挿しっぱなしだったりする家庭内の無数の電化製品。
それらが消費する電力の積み重ねが、電気量料金となって請求されるわけです。
❏どの家電が家の電力を消費しているのか知ろう
では、家庭の中でどの製品が実際に電力を使っているのか、見てみましょう。下のグラフを見ると、やはり夏・冬ともエアコンなどの冷暖房機器の占める割合が多いことがわかります。
また年間24時間365日働いている冷蔵庫や、毎日使う照明といった常時使用している製品が実はトータルでは多くの電力を使っていることに、びっくりされる方もいるのではないでしょうか?
こうした消費電力の多くを占める電化製品をターゲットにして、消費電力を減らしていくことも電気代の節約ポイントとなります。
※出典:経済産業省 資源エネルギー庁
「省エネポータルサイト」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/
❏たくさんある!節電のヒント
消費電力の多い家電に狙いをさだめ少しずつ電気を節約していくことで、それが積み重なって電気代の節約につながります。製品ごとに電気代節約のヒントがインターネット等で紹介されています。
例えばエアコンであれば、1時間程度の外出であれば電源を切らないほうがかえって電気代は節約できるとか、エアコンのフィルターを掃除するとか、室外機の近くに物を置かない、シートで覆わない、扇風機と併用するなどの節約テクニックがあります。
照明やテレビであれば、室内に人がいない時はこまめに消したり、ランプやカバーのホコリを掃除したりすることも節約につながります。
このように昔から伝わる家庭の節約の知恵というのは、今でもかなり有効な方法のようですね。
❏電気代は「使う時間帯」でも変わることがある?
電化製品の省エネや節電を行うのはもちろん重要なのですが、もうひとつ電気料金は、使用時間や使用量が同じでも電力会社との契約中のプランによって金額が変わってくることがあります。例えば使用量に応じて金額が変わっていく「従量電灯」と、使用する時間帯によって電気料金が変わる「時間帯別電灯」があります。
「従量電灯」は使用した電力量に応じて1kWhあたり3段階の単価が設定されるもので、電気の使用量が多くなるほど1kWあたりの単価が高くなっていく仕組みです。
これに対して「時間帯別電灯」は、産業用の電気使用の減少や多くの方が就寝していて電力使用量が少なくなる夜間の時間帯に、電気料金が安くなるプランです。
例えば東京電力では、夜トクプラン(夜トク8)といって、午後11時~翌午前7時には電気料金を安く設定する契約プランを設けています。
そのぶん日中の電気料金は割高になりますが、もし生活のメインが夜間であるようなご家庭であれば、思わぬ節約になるかもしれません。
この他にも電気会社によってさまざまなお得になるプランが用意されています。
昔から全く電気の契約を変えていないご家庭は、「従量電灯」の契約のままかもしれません。明細などで契約内容を確認し、ご家庭のライススタイルに合わせた契約プランを検討されるのも、電気代節約のためには有効な方法です。
❏思い切って電力会社を変える、という選択も「あり」
電力会社を変えることで、電気代が安くなる場合もあります。2016年の電力小売自由化によって、多くの新しい電力会社(新電力)が生まれ、電力会社を自由に選んで契約できるようになりました。
そして価格の自由競争のなかから電力会社ごとに1kWhの単価が異なるようになっています。
皆さんの住宅の環境やご家族に合わせて選べるプランが豊富にあり、そこからぴったりのものを選ぶことができます。
例えば、出光興産が展開するidemitsuでんきの「Sプラン」は、3段階料金制を導入しながらも、電気使用量に応じて既存の電力会社よりもおトクになるというプランです。
さらに会社の特徴を活かしてガソリン代やEV の充電代がおトクになるという特典も付き、東京電力エリアにお住まいの方の場合、年間トータルで約12,040円おトクになるという、自家用車の燃料代も悩みのタネというご家庭にはぴったりです。
このように電力会社にさまざまな選択肢が増えたことで、ご自分の価値観やライフスタイルに合った特徴のある電力会社に乗り換える人が増えています。
電気代を節約するために電力会社の見直しやプランの変更も、検討されてはいかがでしょうか。