電気自動車(EV)の充電時間を計算!普通・急速充電を比較して紹介

近年、各自動車メーカーからさまざまなモデルのEVが登場しています。乗車時の快適性やランニングコストの低さが注目されていますが、電気自動車(EV)への乗り換えを検討する際に気になるのが「充電時間」ではないでしょうか。
電気自動車の充電方法は、自宅・外出先・長距離ドライブ中の急速充電など、利用シーンによって異なり、充電にかかる時間も大きく変わります。
本記事では、電気自動車の充電にかかる時間を、充電方法と充電場所別に解説します。また、充電時間と走行距離の目安や、充電時間を気にせず電気自動車を使うコツについてもご紹介します。
電気自動車(EV)の充電時間を比較
電気自動車の充電時間の目安は、「電気自動車のバッテリー容量(kWh)」と、「充電器の出力(kW)」で考えることができます。基本的な計算式は、以下の通りです。
バッテリーの充電量(kWh)÷充電器の出力(kW) |
例えば、30kWhのバッテリーを3kWの普通充電器で充電する場合、「30(kWh)÷3(kW)=10(時間)」となります。
ここでは、人気の電気自動車を例に、普通充電と急速充電のそれぞれの充電時間を比較してご紹介します。
普通充電の場合
普通充電は、主に自宅や宿泊施設など、長時間滞在する場所で利用される充電方法です。充電出力は3kWや6kWと比較的小さく、時間をかけてゆっくりと充電を行います。
一例として、各メーカー・車種ごとに発表されている充電時間の目安をみてみましょう。
メーカー・車種 | バッテリー容量 | 充電時間の目安 |
---|---|---|
日産アリア | 66kWh | 3kWの場合:約25.5時間 6kWの場合:約12時間 |
91kWh | 3kWの場合:約35時間 6kWの場合:約16.5時間 |
|
日産リーフ e+ X | 60kWh | 3kWの場合:約23.5時間 6kWの場合:約12.5時間 |
日産リーフ X | 40kWh | 3kWの場合:約16時間 6kWの場合:約8時間 |
レクサス RZ450e | 71.4kWh | 3kWの場合:約21時間 6kWの場合:約12時間 |
トヨタ bZ4X | 71.4kWh | 約3kWの場合:約21時間 約6kWの場合:約12時間 |
ホンダ N-Van e: | 29.6kWh | 6kWの場合:約4.5時間 |
メルセデスベンツ EQS 450 | 118kWh | 充電用ウォールユニット(定格30A/6kWタイプ):約20時間 ※電池残量10%から100%まで |
※表記は各公式情報を順守
自宅にある一般的な充電設備は3kWが多く、80%以上の充電には20時間以上かかることもあります。そのため、夜間帯など、車を使わないまとまった時間に充電することが理想的です。
急速充電の場合
急速充電は短時間での充電が可能で、高速道路のサービスエリアや自動車ディーラー、サービスステーション(ガソリンスタンド)などに多く充電設備が設置されています。立ち寄った短い時間で効率的に充電ができるよう、電力の出力を高く設定しているのが特徴です。
ここでは、各メーカー・車種ごとに発表されている急速充電出力の時間目安をみてみましょう。
メーカー・車種 | バッテリー容量 | 充電時間の目安 |
---|---|---|
日産アリア | 66kWh | 90kWの場合:約45分 50kWの場合:約65分 |
91kWh | 90kWの場合:約60分 50kWの場合:約90分 |
|
新型 日産リーフ | 75kWh | 150kWの場合:最短35分 ※10~80%まで |
レクサスRZ450e | 71.4kWh | 90kWの場合:約40分 50kWの場合:約60分 |
三菱eKクロス EV(B5AW) | 20kWh | 30kWの場合:約40分 ※バッテリー残量警告灯が点灯してから約80%まで |
トヨタ bZ4X | 71.4kWh | 約90kWの場合:約40分 約50kWの場合:約60分 ※満充電量の約80%充電 |
ホンダ N-Van e: | 29.6kWh | 50kWの場合:約30分 |
メルセデスベンツ EQS 450 | 118kWh | 150kWタイプ:約53分 90kWタイプ:約64分 50kWタイプ:約114分 ※電池残量10%から80%まで |
※表記は各公式情報を順守
電力の強い急速充電の場合、30分から1時間程度で充電が可能です。
ただし、日本国内に設置されている急速充電器の多くは、「原則1回30分まで」などの利用制限があるため、特にバッテリー容量の大きい車種では、フル充電は難しい場合もあります。効率的な利用を意識して、計画的に充電を行うことが重要です。
【充電場所別】電気自動車(EV)の充電時間
電気自動車充電時間は、充電を行う場所によって大きく異なります。電気自動車の主な充電場所として、以下が挙げられます。
- 自宅
- ディーラーや商業・宿泊施設の駐車場
- 充電スタンド・サービスステーション(ガソリンスタンド)
- 高速道路のサービスエリア
ここでは、充電場所別の充電時間の目安と、充電時の注意点や活用方法について詳しく解説します。
自宅
自宅で電気自動車を充電する場合、一般的に使用されるのは3kW〜6kWの普通充電器です。
家庭用の電力契約は40A程度であることが多いため、3kW(約32A)や6kW(約47A)の充電器を使う場合、他の家電製品と同時に使用するとブレーカーが落ちてしまう可能性があります。そのため、自宅での充電は、夜間など他の電力使用が少ない時間帯に行うことが理想的です。
また、出力が低いため充電に時間がかかり、充電がほとんどない状態から満充電までには約20時間程度かかることが一般的ですが、日々の走行後も一定の充電残量が残る状態であれば毎日満充電にする必要はありません。車両を選ぶ際に、日々の走行量に応じたバッテリー容量を考慮すると安心です。
いつもより長距離を走って充電残量が少なく、翌朝から使う必要がある場合は、帰宅後すぐに充電を始めておいたり、一時的に自宅外で急速充電器を利用したりする等、翌日の使用に備えることが望ましいでしょう。
ディーラーや商業・宿泊施設の駐車場
ディーラーや商業施設、宿泊施設にも、EVユーザー向けの充電設備が充実し始めています。
ディーラーの場合、急速充電と普通充電のいずれか、または両方が設置されているなど様々です。 また、ショッピングモールなどの商業施設では、買い物や食事の合間に充電できるよう、駐車場に両方の充電器を設置しているケースが増えています。
いずれも、多くの人が利用するため混雑を避ける目的で、「1回30分まで」などの利用制限が設けられていることが多く、満充電が難しいこともあります。
一方、宿泊施設では長時間の滞在を前提としているため、普通充電設備が設置されていることが一般的です。予約時に充電設備の有無を確認しておくと安心でしょう。
充電スタンド・サービスステーション(ガソリンスタンド)
全国には数多くのEV充電スタンドが存在しており、EV充電スタンド情報サイト「GoGoEV」によると、2025年3月時点での電気自動車の充電スタンドの拠点数は25,890です。
充電口数としては、普通充電が34,467口、急速充電が14,318口となっており、急速充電設備は全体の約36.7%にとどまっています。充電スタンドごとに設置されている設備が異なるため、事前にどのタイプの充電器が使えるのかを確認しておくとスムーズです。
また、サービスステーションでもEV充電設備の設置が進んでおり、同調査では、2025年6月時点で、全国782カ所のサービスステーションにEV充電器が設置されています。一部、普通充電設備の場合もありますが、多くの場合、50kW程度の急速充電設備が導入されており、短時間での充電に対応しています。
参照:GoGoEV「EV充電スタンド数の推移【2024年4月~2025年3月】
参照:GoGoEV「充電スタンド検索|ガソリンスタンド」
高速道路のサービスエリア
高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)でも、電気自動車の充電が可能です。GoGoEVによると、2025年6月時点では全国462カ所のSA・PAに急速充電器が設置されており50kWを中心に、場所によっては90kWや150kWといった高出力充電器が設置されている場所もあるとされています。
国土交通省によると、2024年6月末時点のSA・PAは全国で887カ所に達しており、そのうち半数以上の施設でEV充電が可能になっていることがわかります。高速道路では長距離走行が基本となるため、事前に必ず充電施設の確認をしておきましょう。
なお、SAやPAでは食事やトイレ休憩の時間を活用して急速充電ができるため、電気自動車の充電時間にストレスを感じにくいでしょう。普段は自宅で充電する人も、遠出する場合はSAやPAで充電することが多いため、充電の順番待ちが発生しているケースも出てきています。出発前にルート上の充電設備を調べるとともに、昼食時など混雑しそうな時間帯を避けることで、バッテリー残量に不安を感じることなく安心してドライブを楽しめます。
電気自動車(EV)の充電時間と走行距離の目安は?
電気自動車の購入や乗り換えを検討する際、「フル充電でどれくらい走れるのか」という点は、多くの人が気になるポイントです。これらは車種によって大きく異なり、搭載するバッテリー容量やモーターの効率、車両の重量などが影響しています。
以下は、代表的な電気自動車3車種のバッテリー容量と、フル充電での走行距離の目安です。
車種 | 総電力量 | 1充電の走行距離(目安) |
---|---|---|
トヨタ「bZ4x」※1 | 71.4kWh | 540~567km |
ホンダ「N-VAN e:」※2 | 29.6kWh | 245km |
三菱eKクロス EV(B5AW) ※3 | 20kWh | 180km |
bZ4Xは大容量のバッテリーを搭載しており、1充電あたりの走行距離が500kmを超える点が魅力です。一方で、N-VAN e: や三菱eKクロスは小回りの利く軽自動車タイプで、日々の通勤や買い物など短距離走行に適しています。
ただし、走行可能距離もエアコンの使用状況や加速頻度、バッテリーの劣化状況によって異なるため、カタログ値はあくまで目安とし、日常の利用シーンに即した充電計画を立てることが大切です。
※1:トヨタ「bZ4x」
※2:ホンダ「N-VAN e:」
※3:三菱「ekクロスEV」
充電時間を気にせずに電気自動車(EV)を使うコツ
電気自動車は環境に優しく経済的な乗り物ですが、「充電時間が長い」というイメージを持っている方も少なくありません。実際に充電には数時間かかることもありますが、次のような工夫やテクニックを取り入れることで、充電のストレスを大幅に軽減することが可能です。
- タイマー充電を活用する
- 外出先でこまめに充電する
- 夜間に充電する
ここでは、毎日のEVライフをもっと快適にするための3つのコツをご紹介します。
タイマー充電を活用する
多くの電気自動車には、充電開始のタイミングを自由に設定できる「タイマー機能」が搭載されています。時間帯によって料金が割安になる電力プランでご契約中の場合、電気料金が安い時間帯に充電するようタイマーを設定しておくことで、電気料金の安い深夜帯に充電を自動で始めることができ、充電時間も気にせずおトクに充電できます。
例えば、三菱「ekクロスEV」では、マルチインフォメーションディスプレイを使って簡単にタイマーの設定が可能です。設定方法は車種によって異なるため、まずは取扱説明書を確認してみましょう。
外出先でこまめに充電する
電気自動車の充電は、シーンごとに以下の3つの種類に分けられます。
- 基礎充電:自宅などで日常的に行う充電
- 経路充電:走行中に立ち寄る充電
- 目的地充電:外出先の施設などで行う充電
予定に合わせてこの3つをうまく使い分けることが、充電時間のストレスを減らすポイントです。
特に自宅の普通充電(3〜6kWh)は充電に時間がかかりやすいですが、外出先であらかじめ経路充電や目的地充電をこまめに行っておくことで、バッテリー残量を余裕ある状態に保てます。
急速充電設備を活用すれば、さらに短時間でバッテリーの電力量を大きく回復させることも可能です。充電残量が少なく次の使用までに時間が限られるときに利用するなど、上手に活用するといいでしょう。
夜間に充電する
時間帯別の電気料金プランを契約している場合、電気料金が安く設定されている夜間帯等を狙って充電することがおすすめです。多くの電力会社では、夜間の電力需要が少ない時間帯に料金が割安になる「時間帯別料金プラン」を提供しています。
例えば、「idemitsuでんき」では深夜の電力需要が少ない時間帯や、太陽光発電の多い時間帯に充電をお願いする「EV充電タイム」を提供しています。ご案内した対象時間に充電することで、電気の使用量に応じてポイントを獲得でき、EVユーザーだけのおトクなサービスです。
また、オール電化プランをご契約の場合は、夜間時間の電気代が安くなるため、この時間を活用することで毎月の充電コストも節約可能です。EVユーザー向けの充電サポートも充実しているため、上手に利用することでおトクに電気自動車ライフを楽しむことができるでしょう。
電気自動車(EV)の充電時間についてよくある質問
電気自動車を購入する際、「充電時間」に関する疑問や不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、「充電は毎回満タンにすべき?」「時間がかかるほど電気代は高くなる?」など、ユーザーから寄せられるよくある質問をもとに、EVライフを快適にするための知識をQ&A形式でご紹介します。
満タンは避けた方が良いって本当?
電気自動車のバッテリーを長持ちさせるためには、80〜90%の充電を維持することが推奨されています。フル充電の状態を維持していると、熱や化学反応によりバッテリーの劣化が進行しやすくなるためです。
特に外出先の急速充電では、100%のフル充電ができない仕様になっており、80~90%程度で自動的に充電がストップします。これは、高出力による過充電を避け、バッテリーの劣化を防ぐための仕組みによるものです。
1日の走行距離を予測し、問題がなければ満充電を意識しすぎなくても良いといえるでしょう。
充電時間をさらに短縮するには?
電気自動車の充電時間は、充電量や充電機器の出力に大きく影響されます。少ない充電量なら短時間で充電できますが、充電時間をより短縮したいなら、高出力の充電設備での充電がおすすめです。
近年では150kWhの高出力急速充電器も普及してきており、約50kWhの充電が30分ほどで完了します。バッテリー容量が71.4kWhと多いトヨタ「bZ4x」やスバル「ソルテラ」であっても、30分程度で約70%の充電が可能です。
こうした高出力の急速充電器は、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)、都市部の商業施設に多く設置されています。充電時間を短縮したいときは、目的地周辺の高出力充電設備を探してみると良いでしょう。
ただし、EVごとに充電を受け入れる大きさに上限があり、50kWが上限のEVの場合、150kWの急速充電器を利用しても50kWと同じスピードとなります。EVの仕様を確認し、充電設備を選択するようにしましょう。
充電時間が長いと電気代が高くなる?
自宅で充電する場合は、充電時間が長くても電気代が高くなるとは限りません。電気代は、「充電時間」ではなく「使った電力量(kWh)」に応じて決まるためです。
一般的な電気料金は、1kWhあたり31円(税込)です(※全国家庭電気製品公正取引協議会:2022年7月22日現在)。
この数値をもとに、主要な5車種を自宅で100%充電する際にかかる電気代を見てみましょう。
車種 | 総電力量 | 100%充電時の電気料金 |
---|---|---|
トヨタ「bZ4x」 | 71.40kWh | 約2,213円 |
スバル「ソルテラ」 | 71.40kWh | 約2,213円 |
三菱「ekクロスEV」 | 20.00kWh | 約620円 |
ホンダ「N-VAN e:」 | 29.96kWh | 約929円 |
日産「サクラ Gグレード」 | 20.00kWh | 約620円 |
車種ごとに搭載バッテリー容量が異なり、満充電時の電気代にも差が出ることがわかります。
自宅で充電する場合に充電時間が長くなるのは、低出力の充電設備を利用しているためです。充電時間ではなく充電量(kWh)に比例して電気代が上がっていくことを覚えておきましょう。
ただし注意すべき点として、自宅の電気の契約内容が電気自動車の充電に適したプランでなければ、思いのほか電気代が高くなる恐れがあります。時間帯別の電気料金プランを契約し、料金が高い時間に充電していると、一般的な電気料金より割高になることもあるため、契約中の電気料金プランとEV充電の状況を確認してみましょう。
また、EV充電のためのおトクな電気料金プランやプログラムを選択することで、電気代の負担を抑えることが可能です。電気自動車を導入した際は、必ず電気料金プランを見直すようにしましょう。
なお、自宅以外で充電する場合は、時間での課金が一般的です。充電残量が多い場合に急速充電を長時間していると、充電量が少ないにもかかわらず高い料金となってしまうことがありますので注意しましょう。
idemitsuでんきの「EV充電タイム」でポイントを貯められる!
電気自動車の充電時間は、急速充電か普通充電かによって大きく異なります。
急速充電は短時間で効率よく充電できますが、同じ電力量を充電する場合、自宅で充電するより費用がかさむ傾向があります。また充電設備によって価格が異なり、思わぬ出費になることもあります。
一方、自宅での充電は3kW~6kWといった低出力の「普通充電」が主流となるため、満充電までに時間がかかる傾向があります。費用面では急速充電より安価な傾向があること、移動せず手軽に充電できることから、充電残量が少なく急いで充電が必要なケース以外は、自宅での充電がおすすめです。
加えて、電気料金プランの見直しにより、おトクになるケースもあります。
idemitsuでんきが提供する「EV充電タイム」では、指定された時間帯に充電を行うことで、電気の使用量に応じてポイントが付与される仕組みになっています。
また、idemitsuでんきの「クルマ特割」では、毎月の電気代が200円引きになります。年間2,400円となり、EV充電の費用を軽減することができるでしょう。
電気自動車の充電コストを抑えたい方や、料金プランを見直したいと考えている方は、idemitsuでんきの「EV充電タイム」や「クルマ特割」を上手に活用して、生活コストの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。