電気自動車(EV)の電気代はどれくらい?ガソリン車との違いや電気代の節約方法を徹底紹介

電気自動車(EV)の普及が進むにつれ、購入を検討している方も増えています。しかし、EVの導入にあたって気になるのが充電の「電気代」ではないでしょうか。

本記事では、EV充電の電気代について、ガソリン車との比較や節約方法を交えながら詳しく解説します。

電気自動車(EV)の1ヶ月の電気代はどれくらい?

電気自動車(EV)はガソリン車と比べて燃料コストが安いといわれますが、実際の金額を把握するには、電費や月間走行距離、電気料金単価などの要素をもとに計算する必要があります。

自宅で充電する場合、EVの1ヶ月の電気代の一般的な計算方法は、以下の通りです。

 

①月間の電気消費量を計算する
電費(kWh/km)×1ヶ月の走行距離(km)=月間の電気消費量(kWh)

②電気代の算出
月間の電気消費量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)=1ヶ月の電気代

 

1ヶ月あたりの平均走行距離数は、日本自動車工業会の「2023年度乗用車市場動向調査」によると362kmです。また、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会では、電気料金の目安単価を31円/kWh(税込)と定めています。(令和4年7月22日以降の単価)

この数値を使って、代表的なEV車種の1ヶ月あたりの自宅の電気代を試算すると、以下のようになります。

 

車種 電費 1ヶ月362km走行した場合の電気代(目安)
ホンダ「 N-VAN e:L4」 0.127kWh/km 1,425円
トヨタ「bZ4X G 4WD) 0.131kWh/km 1,470円
日産「リーフX」 0.155kWh/km 1,739円
テスラ「Model S」 0.175kWh/km 1,964円

 

車種によって差はありますが、一ヶ月の電気代は1,400~2,000円程度です。

また、あくまで自宅充電した場合であり、次章でご紹介する充電方法による違いも確認しておきましょう。

電気自動車(EV)の充電方法別にかかる電気代

電気自動車(EV)の充電方法には、主に「自宅充電」と外出先での「外充電(経路充電、目的地充電)」があり、それぞれコストが異なります。

ここでは、EVの充電方法別にかかる電気代の目安と特徴を見ていきましょう。

自宅充電の電気代

自宅での充電は、給油のように外に出る必要がなく自宅で手軽に充電できる点が魅力ですが、電気代は車種やバッテリー容量、契約している電力会社の料金プランによって変動します。

下記は、主なEV車種のバッテリー容量をもとに、1回の充電にかかる電気代を算出した例です。

 

車種 バッテリー容量

航続距離

(WLTC)

充電1回の電気代 1kmあたりにかかる電気代
ニッサン「サクラX」 20kWh 180km 620.0円 3.4円
ニッサン「アリアB9」 91kWh 640km 2821.0円 4.4円
トヨタ「bZ4X 4WD」 71.4kWh 551km 2,213.0円 4.0円
マツダ「MX-30 EV MODEL」 35.5kWh 256km 1,100.5円 4.3円
ホンダ「N-VAN e:L4」 29.6kWh 245km 917.6円 3.7円
ホンダ「Honda e Advance」 35.5kWh 259km 1,100.5円 4.2円
三菱「ekクロスEV」 20kWh 180km 620.0円 3.4円
三菱「ミニキャブEV」 20kWh 180km 620.0円 3.4円
スバル「ソルテラ ET-SS 4WD」 71.4kWh 542km 2,213.4円 4.1円

 

なお、これらはあくまで目安単価31円/kWhをもとに計算したもので、実際の電気代は契約している電力会社の料金プランにより異なります。

例えば、東京電力の「従量電灯B」と、idemitsuでんきの「SプランB」を比較すると、120kWhを超える部分ではidemitsuでんきの方が、単価が安くなっていることがわかるでしょう。

例えば、バッテリー容量が大きい「アリアB9」の充電1回の電気代を比較すると、以下のような料金になります。

 

 

第1段階

(~120kWh)

第2段階

(120~200kWh)

第3段階

(300~350kWh)

idemitsuでんき Sプラン 596円 695円 742円
東京電力 従量電灯B 596円 728円 810円

 

このように、自宅でEVを充電する際は、電力会社との契約プランによっても、コストが大きく変動します。

外出先での充電(経路充電、目的地充電)の電気代

自宅に充電設備がない場合や、外出先で充電が必要なときには、公共のEV充電ステーションを利用することになります。目的地までに必要な充電を継ぎ足す経路充電と、目的地での滞在中に充電する目的地充電があり、設置されている急速充電器や普通充電器を利用します。本記事では、これらをまとめて経路充電と呼びます。経路充電では、利用するサービスや充電器によって料金体系が異なる点に注意が必要です。

例えば、e-Mobility Powerの提供するサービスでは「基本料金+従量課金」のプランがあり、利用回数と利用時間に応じて料金が発生します。

<基本料金+従量課金のプラン例>

参考:EVドライバーの方 – 株式会社e-Mobility Power

また、日産が提供する「ZESP3(ゼスプスリー)」というプランは、充電方法に応じた複数の料金体系です。具体的には、月額会員プランでは定額料金内で一定回数まで充電できるサービスもあり、走行距離や利用頻度に応じて選ぶことが可能です。

<充電別プランの場合>

参考:日産電気自動車 充電について | ZESP3

経路充電の従量料金は一般的に時間で課金されますが、特に急速充電器は様々な出力があるため、同じ充電時間でも充電器によって充電量が異なります。例えば25kWと50kWの充電器の場合、30分間、最大出力で充電した場合の充電量はそれぞれ12.5kWh、25kWhと、2倍の差がつきます。時間当たりの料金に加え、充電器の出力も充電コストに大きく影響することを認識しておきましょう。

また急速充電の場合、バッテリーの充電残量も充電量に影響します。車種によって異なりますが、一般的にバッテリーの充電残量が80%に近づくと、バッテリーを保護する機能が働くため充電量が大幅に落ちます。

様々な料金体系に加え、急速充電のこのような特性から、経路充電の経済性はケーズバイケースと言えます。

一般的には自宅での充電の方が料金を抑えられると言われています。自宅充電の場合、初期費用として充電器の設置費用(数万円〜十数万円)がかかりますが、自宅で手軽に充電できることや、太陽光発電設備のあるご家庭の場合は余った発電を有効活用できるといったメリットもあります。費用やライフスタイルに合わせて、自宅充電と経路充電を選択するといいでしょう。

電気自動車(EV)とガソリン車はどちらが安い?

では実際に、電気自動車(EV)とガソリン車、どちらが日々の走行コストを抑えられるのでしょうか。

下表では、月間の走行距離を362kmとした場合のEVとガソリン車の燃料代を、同じ条件で比較してみました。

 

条件 電気自動車(EV) ガソリン車
1ヶ月の走行距離数 362km
電費・燃費 7.5km/kWh 15.0km/L
電気代 31円/kWh
ガソリン代 184.5円/L

※電気代は公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電気代の単価を記載
※ガソリン代は令和7年6月16日発表「石油製品価格調査の結果」をもとに記載

まずEVの場合、例えば日産サクラの場合、電費が0.124kWh/km*、電気代の単価は31円/kWhとすると、362kmを走行するには約48.27kWhが必要です。したがって、EVの1ヶ月の電気代は約1,496円となります。

*WLTCモード(「市街地」「郊外」「高速道路」の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード)での国土交通省審査値

必要な電力量 = 362km × 0.124kWh/km ≒ 45kWh
月間電気代 = 45kWh × 31円 ≒ 1,395円

 

一方、ガソリン車の場合は燃費が15.0km/L、ガソリン価格が171.2円/Lとすると、必要なガソリン量は約24.13Lで、月間の燃料費は約4,131円です。

必要なガソリン量 = 362km ÷ 15.0km/L ≒ 24.13L
月間ガソリン代 = 24.13L × 171.2円 ≒ 4,131円

 

この場合、1ヶ月の走行距離数が同じ場合は、燃料コストはEVの方が約3,000円安くなります。電費、燃費ともに走行環境により変動しますが、上記の例の場合、電費が倍増したとしても、ガソリン代より安価となります。

電気自動車(EV)の電気代を安く抑えるには

ここまで紹介したように、電気自動車(EV)の方がガソリン車よりも燃料費を抑制しやすいです。しかし、電気代が高騰している中、EVの燃料費が心配になる方も多いでしょう。

電気自動車の電気代を抑えるには、以下の方法が有効です。

  • 無料の充電スポットを利用する
  • 電気代が安い時間に充電する
  • エコドライブを意識する
  • 電力会社を切り替える

ここでは、上記の方法について詳しく解説します。

無料の充電スポットを利用する

外出先で電気自動車(EV)を充電する際、無料で利用できる充電スポットを活用することで、電気代の節約が可能です。

無料の充電スポットが設置してある場所として、主に以下が挙げられます。

  • ショッピングセンター
  • 市区町村役場や公園などの公共施設

ショッピングセンターでは、顧客サービスの一環として無料の充電スポット設備を備えていることがあり、買い物のついでに充電ができます。

また、国や自治体では電気自動車の普及促進のために、市区町村役場や公園など公共施設に無料充電スポットを設置していることがあります。

こうした充電スポットが便利な場所にあれば、充電費用を抑えることが可能です。

電気代が安い時間に充電する

自宅で電気自動車(EV)を充電する場合は、電気代が安い時間帯を選ぶと良いでしょう。多くの電力会社では、深夜や休日、昼間などに電気料金が安くなるプランが用意されています。idemitsuでんきでも、オール電化住宅向けに夜間の電力量単価の安い「オール電化プラン」を提供しています。

電力会社との契約プランを確認し、このようなプランに加入している場合は、電気代が安い時間に充電することで電気代を抑制できます。ニーズにあうプランを見直すきっかけにもなるため、ぜひ現在の契約プランを確認してみてください。

エコドライブを意識する

電気自動車(EV)でも、ガソリン車と同様に急発進や急加速は電力消費が増えるため、エコドライブを心がけることが大切です。多くのEVにはエコドライブ機能が搭載されており、コンピューター制御によって無駄な電気使用を抑制するため、電費が良くなります。

また、エアコンは電気の使用量が多いため、外気との温度差が大きすぎないように温度設定を工夫することや、シートヒーターの活用がおすすめです。

電力会社を切り替える

電気自動車(EV)を効率的に充電し、電気代を節約するためには、使用電力量に対する単価が安い電力会社に切り替えることがおすすめです。電力会社によって料金の単価やサービスが異なるため、生活スタイルに合う電力会社を選ぶと良いでしょう。

例えば、idemitsuでんきでは、120kWhを超える電気のご使用分の単価が地域の電力会社より安く設定されている「Sプラン」や、オール電化住宅向けに夜間の電力量単価の安い「オール電化プラン」を提供しています。また、無料で選べる「クルマ特割」に加入することで、EVをお持ちの方の電気料金が毎月値引きされ、よりおトクに利用できます。自宅でEVを充電する方にはぜひ活用してほしいサービスです。

さらに、EV向けのプログラム「EV充電タイム」を利用すると、idemitsuでんきが通知する時間帯にEVを充電していただくことで、その時間帯の電気使用量に応じてポイントが貯まります。太陽光が多く発電して電気が余りがちな時間や、電力需要の少ない時間が指定されています。いつもの自宅充電の時間をEV充電タイムに合わせるだけで、さらにおトクに電気を使うことができます。

電気代の高騰が懸念されるなか、電気自動車(EV)の充電で電気代が気になるなら、ぜひidemitsuでんきのシミュレーションで、どれだけ電気代を安くできるかを確認してみましょう。

いくらおトクになる?料金シミュレーション

電気自動車(EV)の電気代についてよくある質問

ここまで、電気自動車の電気代について解説しましたが、まだ疑問や不安が残る方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、EVの電気代に関するよくある質問にお答えします。自宅充電設備の費用についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

電気自動車(EV)の電費とは?

電費(でんぴ)は、ガソリン車でいう「燃費(km/L)」に相当する EV のエネルギー効率指標です。消費電力量あたりの走行距離(km/kWh)、もしくは一定の距離をどれだけの消費電力量で走れるか(Wh/km)で示されます。

自宅充電設備の費用目安は?

電気自動車(EV)を自宅で充電するには、専用の充電設備が必要です。その費用は、設置する設備のタイプによって次のように異なります。

 

設備のタイプ 目安の費用
壁面取り付けコンセント 約10万円前後
スタンド 約20万円~
V2H機器 約50万~100万円

 

一般的なタイプは「壁面取り付けコンセント」で、駐車場や建物の壁面に取り付けられるため、場所を取らずに設置できます。コンセントは3,000~10,000円程度と比較的安価で購入でき、工事費用を含めても約10万円前後で設置が可能です。

一方、壁面から離れた場所で充電したい場合は「スタンドタイプ」の充電設備が適しています。これは設置場所に自由度がある反面、設置費用は約20万円以上とやや高額になります。

また、充電時間を短縮したい場合や、災害時の非常用電源としても活用したい場合には、出力の大きい「V2H(Vehicle to Home)機器」も検討すると良いでしょう。これはEVのバッテリーに蓄えた電力を家庭内に供給できる装置で、設置費用は50万~100万円程度と高額になりますが、利便性や非常時の安心感を得られるというメリットがあります。

EVの充電設備を検討する際は、自宅の駐車場の構造や予算、将来的な使い方まで見据えながら、自分に合った充電設備を選ぶことが大切です。

電気代が高騰しているけど、本当に電気自動車(EV)はおトクなの?

電気代の上昇が続くなかで、「本当に電気自動車(EV)はおトクなのか?」と疑問を抱く方も少なくありません。しかし、電気自動車はガソリン車と比べて、一般的にランニングコストが安く済むというメリットがあります。

特に、近年はガソリン価格の高騰が続いており、1kmあたりの走行コストで見ると、一般的にはEVの方が経済的と言えます。

また、EVは、2026(令和8)年4月30日までエコカー減税が適用され、重量税の免税によって購入時もおトクです。これにより、購入時の負担が軽減されます。

ただし、EVには自宅の充電設備設置などの初期費用がかかる点には注意しましょう。EVを選ぶ際は、ランニングコストや初期費用など、全体的なコストパフォーマンスを総合的に判断することが大切です。

電気自動車(EV)を利用するならidemitsuでんきがおすすめ!

電気自動車(EV)の一ヶ月の電気代は、車種によって1,400~2,000円程度であり、ガソリン代の高止まりが続く状況ではガソリン車に比べ燃料代が安くなりやすいです。EV充電の費用は充電場所、サービスなどによって違いがあるので、自宅の事情や地理的な利便性などを考慮して選ぶと良いでしょう。EV充電の電気代の節約には、無料の充電スポットを利用したり、自宅の電気代が安い時間帯に充電したりといった工夫も可能です。

また、EVを自宅で充電できる場合は、自宅の電気料金を見直し、ご自身のライフスタイルに合った電力会社へ切り替えることをおすすめします。

idemitsuでんきでは120kWhを超える使用分の単価が地域の電力会社より安い「Sプラン」やオール電化住宅向けに夜間ご使用分の電力量単価の安い「オール電化プラン」を提供しています。

さらに、EVユーザー向けのプログラムも提供しており、エネルギーの有効利用に寄与しながら、日常的な充電にかかる電気代の軽減にも繋がります。

EVの導入を検討している方も、すでにEVに乗っている方も、電力プランを見直し、安定的でEV充電に適した電力会社を選ぶことで、長期的なコストメリットを得られるでしょう。ぜひ一度、シミュレーションで確認してみてください。

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